認知のゆがみに気づく⑦拡大解釈と過小評価

極端なものの考え方や受け取り方を、鬱や不安症に有効なアプローチである認知行動療法では“認知のゆがみ”と呼びます。

特徴的な“認知のゆがみ”のパターンについては、代表的なものが幾つかあることが知られています。

今回は、ものごとや自分自身・他者をありのままの大きさ(サイズ)で捉えられず、拡大したり縮小したりして辛くなってしまう“拡大解釈と過小評価″を挙げてみます。

これは自分のマイナス面と他者のプラス面を拡大して大きく、他者のマイナス面と自分のプラス面を縮小して小さく捉えてネガティブになる思考パターンを言います。

ものごとに対しては悪いことが起きると拡大して大きく捉え、良いことが起きると縮小して捉えネガティブになります。

例えば、

悪いことが起きると全て台無しになったように考え、良いことが起こってもたいしたことないと考える。
あの人は何でもできるのに自分は何にもできないと思う。
自分の長所や成功に対してはこんなのたいしたことないと思う
他者の短所や失敗に対してはあんなの問題ではないと考える

といった具合です。

以上の例のように、まるで実際の大きさ(サイズ)をゆがめる眼鏡をかけて現実を見ているかのようにネガティブな方向へ捉えてしまい不安になったり気分が落ち込んだりします。

また結果として他者に対しては強い劣等感を抱くことになり、自分に対してはたとえ褒められたとしても「たいしたことない、私なんて…」と過小評価する癖がついて自尊心が下がっていきます。

現実をありのままの大きさ(サイズ)で捉えられないのでイメージの世界でハードルが上がってしまい、行動することに対してすごく抵抗が出てきたり憂鬱になったりして制限がかかってきますし、無意識に逃げたくなって様々な症状が出てくることもあります。

いずれにしても自分がどのような“認知のゆがみ”を抱えているのかを認識することは大切です。

不安になりやすかったり落ち込みやすかったりする背景にどんな捉え方があるのかをはっきり意識化することによって、初めてそれを変えることができるようになるからです。

練習をしながら段々と自分が抱えている“認知のゆがみ”を修正していこうとする専門的なアプローチが“認知行動療法”になります。

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