極端なものの考え方や受け取り方を、鬱や不安症に有効なアプローチである認知行動療法では“認知のゆがみ”と呼びます。
特徴的な“認知のゆがみ”のパターンについては代表的なものが幾つかあることが知られています。
今回は短絡的にネガティブな自分の思いつきをあたかも確実なこととして捉えてしまい、不安や気分の落ち込みに繋がる“根拠のない決めつけ″を挙げてみます。
これは証拠が少ないのに事実とは異なる悲観的な結論へと飛躍して、それを信じてしまう思考パターンを言います。
この“根拠のない決めつけ″には大きく2つのパターンがあり、まず一つ目は相手の心を悪い方に読んでしまうパターンです。
例えば、知人がたまたま挨拶をせずに自分の前を通ったら「自分が嫌われてるからだ」と思い込んでしまうといったといった具合です。
この場合、嫌われている証拠は乏しくその知人は何か考え込んでいて気づかなかっただけかも知れませんが、対人緊張が強い人や自分が他人にどう思われているのかを気にし過ぎる人はこのように悲観的な結論へと飛躍してしまいがちです。
二つ目は先のことを事態は絶対悪くなると決めつけてしまうパターンです。
例えば、仕事の任されているプロジェクトで何かつまずきがあると絶対このプロジェクトは失敗すると決めつけて行動してしまうといった具合です。
アイデンティティが確立されておらず自信が無い人はこの例のように悲観的な結論へ飛躍しやすく、周りが見えなくなって上司などに相談するといった行動さえ選択肢に考えられなくなることもあります。
いずれにしても自分がどのような“認知のゆがみ”を抱えているのかを認識することは大切です。
不安になりやすかったり落ち込みやすかったりする背景にどんな捉え方があるのかをはっきり意識化することによって、初めてそれを変えることができるようになるからです。
練習をしながら段々と自分が抱えている“認知のゆがみ”を修正していこうとする専門的なアプローチが認知行動療法になります。
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