無意識にある【認知の歪み】に気づこう

【認知行動療法(CBT)について】

前回は、問題意識をもって【あなたの中にある考え方・受け取り方】を変えていこうとすることが大切だとお話しました。

また、“認知行動療法”では【あなたの中にある考え方・受け取り方】を無意識に自動で思考していることから【自動思考】と呼ぶことも説明しました。

この【自動思考】は、前々回・前回のAさんの例で言うと、『自分にはできる“はずがない”』『“絶対に”失敗するに違いない』に当たるわけですが、客観的に読んでみて何か違和感を感じると思います。

極端に決めつけた“考え方”や“イメージ”になっていること。
そして、自分の中にあるその“考え方”や“イメージ”にAさん自らが縛られていることに気づかれませんか?

そうなのです!

認知行動療法では、これこそがあなたの気持ちがネガティブな方向になったり、行動が制限されたりする原因の正体と捉えるのです。

そして、私が今までコラムで何度も言っている“心の視野が狭くなっている状態”であり、認知行動療法で呼ぶところの【認知の歪み】なのです。

Aさんのような、極端に決めつけた“考え方”や“イメージ”というパターンの【認知の歪み】を【極端な一般化】と言います。

一般化とは、ひとつ又は少数の体験を取り上げ、すべてのことが同様の結果になると結論付けてしまうことを言います。

ただし、一般化そのものは、人間の脳が世界をシンプルに捉えて、自分の安全や安心を確保し行動するための一つの機能であり、悪いものではありません。

しかし、Aさんのように【極端な一般化】がされて、それもネガティブなものであると、出てくる気持ちもネガティブなものになりますし、自ら縛られて行動も制限されてしまい、深刻に悩んだり心の病気になりやすくなるのです。

(ちなみに【認知の歪み】は【極端な一般化】の他にも何種類かのパターンがあります)

ここまで読んで「なるほど!」、自分で意識的に気づいて【認知の歪み】を修正していこうかな?と思える人は、【認知の歪み】がそれほど強力でなく、他に肯定的な自己イメージをもっている人でしょう。

もし、「そんなことを言っても、やっぱり自分にはできない!絶対に失敗して自分はダメなんだ!」と感じる人は、【認知の歪み】が強力になり、そこから抜け出して自信をつける行動がずっと取れなかった人でしょう。

そして、【極端な一般化】などの【認知の歪み】による“イメージ”が、本来なら自己イメージのほんの一部である程度なのに、ほぼ自己イメージそのものになってしまっている人です。
(本当はそんなことはありませんし、他人が見ればもっとニュートラルなイメージに映るはずなのですが…)

図で示すと…

【認知の歪み】による“イメージ” ≒ 自己イメージ 

になってしまっているのです。

これでは本当につらいですよね。
でも、あきらめる必要はありません。

とにかく、自分の中にある【認知の歪み】に気づく練習をして見るのです。

実際にやってみると、たとえば不安や緊張してしまう自分がダメなのではなく、ダメなのはあなたの中にある考え方・受け取り方=【認知の歪み】(自動思考)であることが少しずつ実感として分かってくるはずです。

まず、自分自身とお悩みや症状を切り離して、等身大の自己イメージを取り戻していくことを目標にしましょう。

⇒ 認知行動療法で【認知の歪み】を修正しよう

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